
「資格の勉強をしても、実際の仕事では役に立たないのではないか」
VBAの資格に興味を持ちながら、そう感じている人もいるのではないでしょうか。
確かに、試験問題と実際の仕事は同じではありません。
試験で覚えたコードを、そのまま会社のExcelに貼り付ければ仕事が終わるわけでもありません。
それでも、資格学習で身につけた知識が、実務の見え方を変えることがあります。
今回紹介するのは、毎月の会議資料作成に追われていたAさんの話です。
Aさんは、VBA資格の勉強を始めたことで、これまで「手作業で行うもの」だと思っていた仕事を、処理のまとまりとして見られるようになりました。
資格の知識が、どのように実務と結びついたのでしょうか。
毎月の会議前に繰り返していた作業
Aさんは、営業部門の事務を担当していました。
月末になると、各担当者から提出されたExcelファイルを集め、翌月の会議で使用する資料を作成します。
作業内容は、毎月ほとんど同じでした。
- 各ファイルを開く。
- 売上金額や件数を確認する。
- 会議資料の決められたセルへ転記する。
- 前月との差を計算する。
- 印刷用に体裁を整える。
一つひとつの操作は、それほど難しくありません。
しかし、担当者の人数が多いため、すべての資料をまとめるには時間がかかります。
提出された数字が修正されれば、もう一度ファイルを開いて転記し直さなければなりません。
Aさんは、毎月この作業を繰り返していました。「会議資料だから、間違えないように自分で確認しながら作るしかない」そう考えていたそうです。
VBA資格の勉強を始めた理由
AさんがVBA資格の勉強を始めたのは、仕事を自動化するためではありませんでした。
Excelを使う仕事が多いため、基礎から学び直してみたいと思ったことがきっかけです。
最初に学んだのは、セルやシートを操作する基本的な内容でした。
その後、変数、条件分岐、繰り返し処理などを順番に学びました。
当初は、「試験では必要かもしれないけれど、仕事でどのように使うのだろう」と感じていたそうです。
繰り返し処理を学んだとき、毎月の会議資料作成が頭に浮かびました。
「私がやっているのも、同じ操作の繰り返しではないか」
そこで初めて、資格の勉強と実際の仕事がつながったのです。
仕事を一つの大きな作業として見なくなった
それまでAさんは、会議資料作成を一つの仕事として見ていました。
しかし、VBAを学んだことで、作業を小さく分けて考えるようになりました。
会議資料を作る仕事は、実際には次の処理に分けられます。
- 対象となるファイルを開く
- 必要なシートを確認する
- 決められたセルから数字を取得する
- 会議資料へ転記する
- 次のファイルでも同じ処理を繰り返す
- 最後に人が数字と体裁を確認する
このように分けてみると、すべてを自動化しなくてもよいことが分かりました。
Aさんが最初に自動化したのは、複数ファイルから数字を取得して一覧表へ転記する部分だけでした。
判断が必要な箇所と、最終確認は人が行います。
単純な転記だけをVBAに任せたのです。
資格で学んだ知識は、どこで役立ったのか
この作業には、資格学習で学んだ複数の基礎知識が使われました。
セルの参照
どのセルから数字を取得し、どのセルへ書き込むのかを指定するために使いました。
セル操作は基礎的な内容ですが、Excel業務を自動化するうえで欠かせません。
ブックとシートの操作
複数のファイルを順番に開き、必要なシートを確認するために使いました。
Aさんは、資格学習をする前まで、ブックとシートの指定を深く意識していませんでした。
変数
取得した売上金額や件数を一時的に保存するために使いました。
最初は難しく感じていた変数も、実際の数字を入れてみることで役割が分かるようになりました。
繰り返し処理
複数の担当者のファイルに、同じ処理を行うために使いました。
この知識が、会議資料作成を見直す大きなきっかけになりました。
条件分岐
ファイルが提出されていない場合や、必要なシートがない場合に、処理を止めたり知らせたりするために使いました。
資格学習では別々に覚えた知識でした。
実務では、これらを組み合わせて一つの処理を作りました。
作業時間よりも大きかった変化
マクロを作ったことで、転記にかかる時間は短くなりました。
しかし、Aさんが最も大きな変化として挙げたのは、時間の短縮ではありませんでした。
「この仕事は、本当に全部手作業で行う必要があるのか」と考えられるようになったことです。
以前は、Excelに表示されている作業を、そのまま自分の仕事だと思っていました。
資格学習を通して、
- 同じ操作を繰り返していないか
- 条件によって処理を分けられないか
- 人が判断すべき部分はどこか
- Excelに任せられる部分はどこか
このように、考えるようになりました。
資格の知識が直接仕事を完成させたというより、仕事を見直すための視点を与えてくれたのです。
VBA資格を取れば、すぐに実務で使えるのか
ここは誤解しないように注意が必要です。
VBA資格を取得しただけで、会社の業務をすぐに自動化できるとは限りません。VBA資格の勉強を始めたことで変わったAさん
試験では、あらかじめ整理された問題が出題されます。
実務では、
- ファイルの保存場所が人によって違う
- シート名が統一されていない
- 入力方法にばらつきがある
- 例外的な処理が発生する
このような課題があります。
そのため、資格の知識に加えて、実際の仕事を整理する力が必要です。
一方で、基礎知識がなければ、どこを自動化できるのかを判断することも難しくなります。
資格は、実務の完成形ではありません。
実務へ進むための土台でした。
VBA資格の勉強を始めたことで変わったAさん
サンプルコードを使うだけでは気づけなかったこと
Aさんは以前にも、インターネットで見つけたマクロを使ったことがありました。
しかし、そのときは、自分の仕事に少し合わない部分があっても修正できませんでした。
今回、自分で処理を分けて考えられたのは、資格学習を通して基礎の役割を理解していたからです。
サンプルコードは、目的がはっきりしているときには便利です。
しかし、基礎を学ぶことで、
「なぜこの処理が必要なのか」
「どこを変更すれば自分の仕事に合うのか」
が分かるようになります。
ここに、資格学習と実務を結びつける意味があります。
資格の知識を実務につなげる3つの手順
資格を勉強している人は、学んだ知識をそのまま覚えるだけで終わらせないことが大切です。
1. 学んだ内容に似た仕事を探す
繰り返し処理を学んだら、自分の仕事の中に同じ操作がないか探します。
条件分岐を学んだら、「この条件なら処理する」という判断がないか確認します。
学んだ知識と仕事を結びつける習慣が、実務への第一歩です。
2. 作業を細かく分ける
「会議資料を作る」のような大きな単位では、自動化できる部分が見えません。
「開く」「取得する」「転記する」「確認する」のように分けることで、Excelに任せられる部分が見えてきます。
3. 一部分だけ試す
最初からすべてを自動化する必要はありません。
Aさんも、最初は数字の転記だけを自動化しました。
小さく作って動作を確認し、安全に使えると分かってから範囲を広げます。
あなたの仕事にも、学んだ知識が使えるかもしれません
「この知識が本当に仕事で役立つのだろうか」と感じている人もいるでしょう。
そのときは、試験問題とまったく同じ仕事を探す必要はありません。
自分の仕事の中に、
- 同じ操作を何度も繰り返している
- 決まったセルから数字を集めている
- 条件によって処理を変えている
- 複数のファイルを順番に確認している
という作業がないか探してみてください。
資格で学んだ知識は、完成した業務マクロとして渡されるものではありません。
仕事を分け、仕組みを考えるための部品です
これからできること
まずは、あなたが毎週または毎月繰り返しているExcel作業を、一つ選んでください。
そして、紙やExcelに次の順番で書き出します。
- 何を開くのか
- どの情報を確認するのか
- どこへ転記するのか
- 何を繰り返しているのか
- 最後に人が判断することは何か
この中に同じ操作の繰り返しがあれば、それが最初の自動化候補です。
VBA資格を勉強中の人は、書き出した作業の中から、今まで学んだセル操作、条件分岐、繰り返し処理に当てはまる部分を探してみてください。
まだ基礎に不安がある人は、問題集で理解できている分野と、復習が必要な分野を確認するところから始めましょう。
資格の勉強を「合格するための暗記」で終わらせず、自分の仕事を見るための地図として使う。
それが、資格の知識を実務へつなげる第一歩です。
基礎を確認したい人は、自分に合った学習の道筋を見つけることから始めてみてください。
- 完全初心者 → マクロ記録の記事を読む
- 少し触ったことがある → 基本文法を学ぶ
- 独学で迷っている → 問題集で理解度を確認する
この後、 小さな自動化から始める
当サイトでは、VBAエキスパートの学習範囲をもとに、初心者でも段階的に学べる問題集や解説記事を用意しています。
▶【2026年最新版】VBAエキスパート試験対策|独学で1回合格する勉強法と問題集
資格で学んだ知識が役立ったのは、試験問題と同じ仕事があったからではありません。学ぶ範囲が整理され、今の自分に足りない知識を確認できたからです。
私がVBAエキスパートを学習の目印にした理由は、次の記事で詳しく説明しています。
